Carol Christian Poell(キャロル・クリスチャン・ポエル)の不可能を可能にした変態パターン「デッドエンド」とは?

2016.11.23

今回は、当店の梅田店を中心に取り扱っている『Carol Christian Poell(キャロル・クリスチャン・ポエル)』の生み出した「デッドエンド」というパターンをご紹介します。

■Carol Christian Poell(キャロル・クリスチャン・ポエル)に関する前回の記事はこちら
『Carol Christian Poell(キャロルクリスチャンポエル)』 の”第二の肌”を目指した服づくり

クリスチャン・ポエルが到達した服作りの”ゴール”

クリスチャン・ポエルというブランドは、現在はもうコレクションという形式の発表を行っておりません。

近年発表されているアイテムは、過去のアイテムの素材違いや、細部のディテールを変更した型など、これまでのピースを改良した服作りに徹底しています。

つまり新作を作っていないということなのです。

これの意味することとはいったいなんなのか。

それは、彼の服作りがすでに”一つの終着点を迎えた”からではないかと云われています。

その”終着点”とは、”DEAD END(デッドエンド)と呼ばれるクリスチャン・ポエルが生み出した、彼だからこそ生み出すことができたと言われる究極のパターンメイキングだと言われています。

クリスチャン・ポエルの生み出した究極のパターン”DEAD END(デッドエンド)”とは

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引用元:SHELTER Ⅱ

では”デッドエンド”と呼ばれるパターンメイキングがどういったものなのかご覧ください。

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こちらのシャツは、その”デッドエンド”というパターンで作られたシャツです。

あきらかに異質な部分があります。

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前立て部分が上下でずれています。

このシャツはの前身頃は左右で分かれておらず、1枚の生地で構築されているということです。

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続いてこちらは、後身頃。

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こちらも前身頃と同様に、上下にずれており、後身頃も左右で1枚の生地で構築されています。

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そしてよくよく見ると、袖も後ろ身頃からそのままつながっており、その袖自体も一枚の生地で構築されています。

このことが意味するのは、一着の服を一枚の生地から作っているということです。

これがDEAD END(終わりのないもの)と呼ばれる変態パターンです。

通常どんな洋服も複数のパーツをつなぎ合わせて作られており、一般的なシャツは、襟、前身頃(左・右)、後身頃、袖(左・右)と6枚のパーツに分かれてしまいます。

ですが、”デッドエンド”の場合それをたった一枚のパーツだけで仕上げています。

また、”デッドエンド”のこだわりはそれだけではありません。

本来、パーツをつなぎ合わせる部分には、要所要所に切れ込みを入れることでパーツの向きを変えることで調整しています。

”デッドエンド”は、必要不可欠な切れ込みであってもただ無闇に入れることはなく、クリスチャン・ポエルの考えに沿った機能性の向上をも考慮して入れています。

その他細部に至るまでこだわりぬかれた構築方法により、1枚の生地で洋服を作ることによって生まれる機能性の低下などもすべて解消されています。

以前のブログでも語った”第二の肌”というクリスチャン・ポエルの洋服づくりのテーマ。

人間の肌も”デッドエンド”同様すべてのパーツに至るまで一枚でできています。

この”デッドエンド”というパターンが”一つの終着点”と言われる所以はそういったところにあるのかもしれません。

”デッドエンド”パターンによって構築された様々なアイテム

”デッドエンド”パターンによって構築されたアイテムはシャツだけではありません。

ジャケットやコート、靴にいたるまで”デッドエンド”パターンは使用されています。

テーラードジャケット

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コート

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パンツ

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 スニーカー

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クリスチャンポエルの執念とも言えるアイテムをあなたも一度手に取ってみては?

今回ご紹介した”デッドエンド”というパターンを生み出すだけでもどれほどの時間と労力が必要であったかを考えると感嘆します。

それにクリスチャン・ポエルの服作りの魅力は何もこのパターンだけではありません。

技術の進歩から大量生産・大量消費のファッションが当たり前のこの世の中で、あくなき服作りへの探求心と執念を持ち自分決めたゴールに向かって邁進し続けているデザイナーがいることを知る機会となっていただければ幸いです。

現在のファッションに対する一つの答えがこの”DEADEND(終わりのないもの)”なのではないかと私は解釈しています。

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