TOGA(トーガ)から見るヴィンテージとジェンダーレスファッション
2019.05.27
TOGA。
いまや国内モードブランドとして男女とわずもっと高い影響力をもつブランドのひとつですが、みなさんはどんな印象をお持ちでしょうか?
ウエスタン調のメタルパーツのイメージが強いかもしれませんが、実はそれ以外にもユニークなクリエイションを数多く生み出しています。
なんといっても女性服のラインと男性服のラインをもうけながら、どちらにも両性の要素を加えているところは現代のファッションブランドとしてとても興味深かったりします。
今回はTOGAというブランドを、デザインソースなどのルーツから紐解きながら、現代のジェンダーレスファッションという少し大きなテーマについても触れられればとおもいます。
むずかしく考えずに、気軽に読んでくださいね。
TOGA(トーガ)とは?
トーガのブランドの由来は古代ローマの市民たちが着用した正装用の上着から。
この言葉の後ろにいろいろつくことで、成年男子用の衣服TOGA VIRILIS(トーガビリリース)、喪服用の衣服TOGA PULLA(トーガプルラ)、凱旋将軍用の衣装TOGA PICTA(トーガピクタ)などと用途とモデルが違っていたようです。
後述しますがそれぞれの衣服の名称、まんまラインの名前で使われていますね。
そのほかにも未成年者用の衣服TOGA PRAETEXTA(トーガプラエテクスタ)、官職立候補者用の衣服TOGA CANDIDA(トーガカンディダ)などもあったようです。
これらもいずれラインの名前になることもあるかもしれませんね。
現在はコレクションラインのTOGA(トーガ)、レディースのカジュアルラインのTOGA PULLA(トーガプルラ)、メンズラインのTOGA VIRILIS(トーガビリリース)の3ラインに分かれています。
上記の3ラインと、今はなくなったラインたちについても軽く見ていきましょう。
TOGA(トーガ)
1997年に誕生。
展示会形式で1999年春夏から発表をスタート、2001年秋冬にはTOGA ARCHIVES(トーガアーカイブス)として法人化し、東京コレクションでのショー形式の発表をはじめます。
トーガの特徴といえばなんといっても力強さと洗練されたデザイン。
デイリーウエアとしては力強すぎるものもややありますが、TOGAのものづくりの根幹が色濃く見られるラインであることは間違いないでしょう。
TOGA PICTA(トーガピクタ)
2005年春夏スタート。
一点もののラインになります。
古着を再構築しすべて手作業で製作されています。ものづくり要素がかなり強い個性的なライン。
ライン名の由来になった凱旋将軍用の衣装(TOGA PICTA)にも金色刺繡が施されていたようで、絢爛豪華・力強いデザインを全面に押し出したユニークなラインですね。
また、古着のリメイクだけではなく古着としても人気のあるブランドたちとのコラボアイテムもリリースしています。
Barbourとコラボしたこんなのも。
ちゃっかりBarbour純正のピンも刺さっているところにブランドへのリスペクトを感じます。
TOGA ODDS&ENDS(トーガ オッズ&エンズ)
2010年3月ごろよりスタート。
古着のリメイクを中心としたラインです。
「ODDS & ENDS」とは、「がらくた」の意味。
テーマである「リ・マスプロダクト」はマスプロダクト(大量生産された製品たち)にTOGAがもう一度新しい価値をあたえる、というものです。
こちらは古着のヘルメットバッグにラバー加工により柄を施し、よりファッション性をもたせたもの。
TOGA PICTAといい、TOGAのものづくりの根幹にはただ消費されるだけの現代ファッションへの問いかけがあるように感じます。
TOGA PULLA(トーガプルラ)
2001年秋冬コレクションにてスタート。
TOGA(トーガ)コレクションラインよりもやや日常着に寄ったデザインが多い印象。
そしてなんといっても力強いカラーリングが特徴の一つです。
後述するメタルパーツ使いの力強さと、柔らかい生地感のコントラストがシーズンを通して見られます。
TOGA VIRILIS(トーガビリリース)
2011年秋冬よりスタート。
2013年秋冬コレクションからはショー形式での発表になっています。
トーガ、トーガプルラに比べて原色使いが少ないのは由来になったローマの成人用衣服が無地・無染色であったことにも関係しているのでしょうか?
1950年代のファッションをデザインソースにしながらもレディース素材を使用することで重くなりすぎず、現代のファッションにうまく落とし込んでいます。
古着へのリスペクト
メタルパーツ
トーガを象徴するディテールといっても過言ではないメタルパーツ。
ウエスタンなメタルパーツが色々なアイテムに使われていますが、不思議なことになぜか古臭く感じません。
ここではトーガのメタルパーツ使いをアイテムごとに見ていきましょう。
ベルト
シューズ
バングル
イヤリング
財布
柄
TOGAといえば毎シーズン異なるパターンの柄物がリリースされることでも有名です。
2012AW
2016SS
2016AW
2017SS
2018AW
基本的にはフローラル柄が多いですね。
この柄はメンズウィメンズを超えて使用されたりします。
また、TOGAの2018年秋冬コレクションでは古典的なスカーフ使いも多く見られましたが、ゴージャスでありながら昔のものに焦点をあてた服づくりという点においてはどのラインにも共通してみられるように思います。
ドッキング
トーガのデザインでも目を引くのがドッキングされたアイテムたち。
既存のアイテムを独自の解釈で合わせることで新しいものへと昇華させています。
こちらはトレンチコートをシースルー生地とドッキングしたアイテム。
素材感を変えることでまったく違った印象を受けますね。
こちらはレザーライダースとトレンチコートのドッキング。
2着着ているように見えますが、トレンチコートの生地の下にはレザーはありません。あくまで見えている部分だけです。
そのため、硬い印象のレザーを着ているのにも関わらず肩周りや身頃、袖の生地がとろりと落ちるので柔らかい印象になるのですね。
TOGA XTC
トーガがセレクションした古着たちを展開するTOGA XTC。
原宿と大阪の2店舗を展開しています。
ブランドが古着のショップを展開することは珍しく、とてもユニークな試みなのではないでしょうか。
これも古着をデザインソースとし、リスペクトを持ち続けているからこその提案なのではないかと思います。
ジェンダーレスの観点から見るTOGA(トーガ)
今度はジェンダーレスの視点からトーガの服を見ていきましょう。
メンズラインTOGA VIRILISにもレディース素材を用いたり、逆にTOGAやTOGA PULLAにスーツ地を使用したりと性別のボーダーを超えた服づくりをしているトーガですが、興味深い点は単なるユニセックスブランドではない、という点です。
ここが他のブランドとジェンダーレスの解釈が違っていて個人的には面白いと思うのです。
というのも、男女の性差を統合するような(要は男女どちらでも着られるような)クリエイションをしているブランドであれば、ラインを男女それぞれに分けるようなことはしません。
トーガはあくまで男性向けの服、女性向けの服、と作った上でそれらを自由に選んでくださいね、という提案方法なのです。
そしてもう一つ面白い点、それはトーガが好きな人たちは男女のラインを気にせず自分が気に入ったものをそれらの中から選ぶところ。
彼らは自分なりのジェンダーレスな着こなしを自分で選ぶことができています。
ブランドが「これがジェンダーレスのスタイルだ」と明確に答えを提示するよりもそれぞれのラインから自由チョイスする、いわば「スキ」を作ってくれています。
だからなのかはわかりませんが、トーガのファンの方々は固定概念に縛られない素敵なスタイリングをされている方が多いように感じます。
「ウィメンズとメンズでは、コンセプトは分かれています。ですが、TOGAのレディースにはスーツ地専門の生地を使うなど常にメンズの要素が混ざっているので、『一緒にルックで出せば』という提案もうけますが、混ぜるつもりがないです。提案しなくても女性は勝手に男性の服を着ますし、男性も女性の服を着ればいいのです」
TOGA デザイナー 古田泰子
出典:http://www.honeyee.com/fashion/170120_toga
ブランドとのコラボレーション
Barbour(バブワー)
2017年、TOGA20周年を記念したTOGA PULLAとのコラボレーション。翌年の2018年にもコラボされていました。
バブアーを代表する定番中の定番「BEDALE」と、丸みのある襟が特徴のワックスドケープ「LOCK WAX CAPE」の2型がベースになっています。
ケープを選ぶのがなんともトーガらしいですね。
ウエスタンな要素はもちろん、Barbourの「B」をあしらったアップリケやチェーンステッチによるヴィンテージライクな刺繍と、古着要素満載です。
また、Barbourの生まれた「London」、TOGAの生まれた「 Tokyo」の文字が入ったスカジャンライクな刺繍デザインもあしらわれており、とてもハイクオリティなコラボレーションでした。
Wrangler(ラングラー)
2018年にはラングラーとのコラボレーションも。
アーカイブをベースとしたモデルがリリースされました。
下の写真の111MJはジョン・レノンが愛用したことで知られるデニムジャケットですが、これをベースにしたドッキングコートなどが販売されていましたね。
また、ウエスタンライクなアイテムもリリース。
c
スタッズの装飾がTOGAにぴったりの素晴らしいアイテムチョイスです。
reyn spooner(レインスプーナー)
老舗ハワイアンブランドreyn spooner(レインスプーナー)のコラボレーション。
2017年、2018年とコラボされていますが、2018年にはレインスプーナーが過去に制作した2,000パターンの中から6パターンを選び製品化されていました。
TOGA自身も総柄のアイテムをリリースしていることもあって、柄へのこだわりはすごく強いのでしょうね。
PORTER(ポーター)
TOGA PULLA 2019年春夏コレクションのルックでも使用されているPORTERコラボのアイテムたち。
TOGAが初期からリリースしているトライアングルモチーフのポーチはスナップボタンのトップはコンチョ、その上にはPORTERのロゴが配されています。
ウエストポーチもレザーとメタルパーツ使いが印象的なデザインですね。
これめっちゃくちゃかわいいですね。
SUICOKE(スイコック)
サンダルブランドSUICOKEとは2016年、2017年とコラボしていました。
2016年はSUICOKEといえばこれ、というくらいに定番のDEPA-V2をベースに、トーガらしい色使いとコンチョなどメタルパーツ使いが見られる世界観を投影したようなコラボレーションでした。
2017年はスライダー型サンダル「PADRI」と足袋のようなデザインの「SATA」をベースにした2型とコラボ。
2016年同様カラフルな色使いと、バックルやベルトの先端にメタルパーツが使われており、より色濃くトーガの世界観を堪能できる仕上がりでした。
kijima takayuki(キジマタカユキ)
2018年に発表されたTOGA PULLAとのコラボレーション。
コラボはベレー帽、ボーターハット、フェズハットの3型がリリースされました。
2019年春夏コレクションのテーマである「様々な国のエキゾチック」をもとに、それをコラボレーションのハットにも落とし込んだアイテムたちです。
ベレー帽はリブニットがくっついていて、上の写真のようにターバンを巻いた上に帽子を被っているようにかぶることができます。
もちろん内側にも収納可能。
こちらのボーターハットにもリブニットがついています。
キジマタカユキのハットメイキングにTOGAのファッション性をうまく持たせた素敵なハットですね。
フェズハットはキジマタカユキのシグネチャーデザインでもある裁断によるカッティングで魅せています。
PRISM(プリズム)
ロンドン発のブランド「PRISM」とのコラボレーション。
デザイナー古田泰子が選んだTOKYOとHAVANAの2モデルが展開されてました。
TOKYO
ユニセックスかつ無機質でシンプルな表情。
かといって現代的かと言われるとヴィンテージの雰囲気も感じられます。
HAVANA
1950年代のイメージを落とし込んだデザイン。
少しつり上がったデザインはハードめなスタイリングに合わせると良さそうですね。
TOGA(トーガ)を着用している芸能人
YUKI
レザーブーツ着用
米津玄師
開襟シャツを着用。
菅田将暉
Tシャツを着用。
シースルーコートを着用
ちなみにこのアイテムは2ラインからリリースされていて、PULLAは裾のドローコードなし、VIRILISはドローコードありという微妙な違いがあったりします。
のん(能年玲奈)
2016SSのワンピースを着用。
2014SSのワンピースを着用。
2014年秋冬のコーデュロイスカートを着用。
広瀬すず
TOGA PULLAの2017SSアセテートスカートを着用。
椎名林檎
https://instagrammernews.com/detail/751018484787689879
スクエアカットソーを着用。
きゃりーぱみゅぱみゅ
16SSの花柄を使用した衣装を着用。
Perfume
2012AWの総柄を使用した衣装を着用。
2012年秋冬コレクションの総柄カットソーを着用。
TOGA2012年秋冬コレクションのイーグルプリントを衣装で着用。
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