2020/05/05追記・編集
三代目J Soul Brothers 登坂広臣、EXILE NAOTO、BIG BANG、木村拓哉など日本のファッションアイコンたちが愛用する星型のモチーフがよく用いられているシルバーアクセサリーブランド『Cody Sanderson(コディサンダーソン)』。
インディアンジュエリーに分類されるこのブランドは、国内外を問わず熱狂的ファンが多いことでも知られています。
なぜこれほどまでに人気となったのか。
そもそもインディアンジュエリーとはどういったものなのか?
今回はインディアンジュエリー、そしてCody Sandersonの人気の秘密に迫ります。
インディアンジュエリーと
一般的なシルバーアクセサリーとの違い
Cody Sandersonの魅力を知るためには、まずインディアンジュエリーについて知っておく必要があるでしょう。
シルバーアクセサリーは世の中に数多く存在しますが、そんな中でも”インディアンジュエリー”と呼ばれるものがあります。
一般的なシルバーアクセサリーとインディアンジュエリーにはどういった違いがあるのかその違いに迫ります。
選ばれた職人しか作れない
インディアンジュエリーとは、その名の通りインディアン(ネイティブアメリカン)が製作したものを指します。
インディアンの血を受け継いでいる者、もしくは厳しい儀式を乗り越えインディアンと認められた者が製作したものだけをインディアンジュエリーと呼び、アメリカではそれ以外の物をインディアンジュエリーと称して販売することは違法とされています。
日本人においては、『Goro's(ゴローズ)』のデザイナー 高橋 吾郎氏が唯一インディアンとして認められており、”イエローイーグル”というインディアンネームを授かっています。
製作上の厳しい制約
しかしながら、インディアンが作ればなんでもインディアンジュエリーとなるわけではありません。
インディアンジュエリーを製作するにあたって、クリエイターたちは厳しい制約を守って制作されてきました。
その制約は次の通り。
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その一 「材質について」
重量1オンス以上のSilverスラグを使用する事とする。純度は900以上とし銀箔は使用してはならない。
そして、鋳造品以外は手作業による打ち出しにて成型作業を行なう事とする。
なお、留め金・襟止め等の装飾物以外のパーツは例外として取り扱うことを認める。
そのニ 「カナ型の取り扱い」
製作に使用する型は全て手作りによる独自のものとする。手作業工具、万力以外の機械工具を使用してはならない。
その三 「製作について」
手作業以外、いかなる補助工具も用いてはならない。
その四 「デザイン付け時の注意」
全ての工程において、必ず手作業である事とする。
その五 「石の取り扱い」
地方独特の持ち味を持つ石の使用を許可する。
ネイティブアメリカンを象徴するターコイズを用いるのであれば純粋な原石を使用し、人工的な着色を行なってはならない。
その六 「装飾用の石切手順」
用いる石の切断、研磨は全て手作業で行なうこととする(人力により稼動するロクロの使用は許可とする)。
その七 「全ての作業に置ける許可事項」
ガソリン、アセリレン・トーチの使用許可を認める。
ただし、完成品の品質に影響を及ぼす作業を行なってはならない。
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要約すると、材料にこだわって手作業だけで作りなさい、ということですね。
ただ、どうしても手作業だと生産が追いつかないため、現在では工場での生産に頼っている部分もあるそうです。
刻印がもつバックグラウンド
通常のシルバーアクセサリーには銀純度を表す「SILVER925(純度925/1000の銀という意味)」などの刻印がありますが、インディアンジュエリーでは多くの場合「sterling」という刻印で表します。
「sterling silver」とは元々イギリスの銀貨の事を指しますが、1870年頃からインディアンがその銀貨を溶かしてジュエリーの素材として用いたため「sterling」 と言う刻印がされていました。
※1890年に硬貨の改鋳が禁止されてからは、銀貨を用いていません。
何気ない刻印一つにもこういったバックグラウンドを持つインディアンジュエリー。
伝統を感じられるアイテムです。
”メタルスミス”の二つ名をもつインディアンジュエリーアーティスト Cody Sanderson(コディサンダーソン)
伝統あるインディアンジュエリーの中でも、今もっとも注目されているアーティストといえばCody Sandersonと言っても過言ではないでしょう。
インディアンには数多くの民族が存在しますが、彼はインディアンジュエリーを最初に作ったと言われているナバホ族の出身です。
”メタル・スミス”の二つ名を持ち、アリゾナ州 HEARD MUSEUM主宰のハード・インディアン・マーケット2008で”BEST OF SHOW”を受賞し、展示品として恒久的に保存・展示されるなど、その実力は折り紙付きです。
Cody Sandersonのジュエリーは、伝統的なインディアンジュエリーの製法を踏襲しつつも、革命的なデザインやモダンなモチーフを取り入れています。
そのため現代の装いや生活に馴染みやすく、決してジュエリーだけが浮いてしまうことのない洗練された雰囲気を醸し出しています。
ほぼすべてのアイテムは、その工程をCody Sanderson自身が一人で手がけており、厳密にいえば全てのアイテムが世界中に1点しか存在しない一点物だという点も人気の理由です。
Cody Sanderson(コディサンダーソン)の職人としてのこだわりと特徴
インディアンジュエリーの敷居が高いからといって世界中から見てインディアンジュエリーが大変希少というわけではありません。
シルバーアクセサリーという枠組みで見ればなおさらです。
ではなぜその中でもCody Sandersonのアクセサリーがこれほどまでに人気があるのか?
その人気の理由となるCody Sandersonのこだわりと特徴をみてましょう。
素材から手作りする
▲右側がスターリングシルバーの顆粒、その左が作成した銀板。
通常、銀細工を行うときは銀棒や銀板を用意しそれらを加工していきます。
しかし、Cody Sandersonの場合は顆粒のスターリングシルバーを溶かし、自分専用の板材や棒材を作るところから始めます。
オリジナルの素材を使用することで、とてつもなく分厚いバングルを作成することが可能になるそうです。
※現在では機械に頼る工程もあるようです。
模様を作る道具も手作り
引用元:LARRY SMITH BLOG
シルバーアクセサリーを彩る模様は、タガネ(鉄を直線や曲線、模様等に削った物)を使って銀版に模様を打ち込む”スタンプワーク”という技法を用いています。
一つの模様を作るために複数の種類のタガネを組み合わせて用いられる場合もあります。
この技法は、もともとメキシコの皮革加工を行う労働者が使用していたパンチとスタンプが起源となっており、よくリングの裏などに打たれているK-18等の刻印もこれによるものです。
適切な位置に打ち込む正確さ、凹凸の深さを均一にする繊細さなど、力加減が必要とされる高度な技法です。
Cody Sandersonは、インディアンジュエリーの厳しい制約に基づいてスタンプワークに使用するタガネもイチから自作しており、そのことがオリジナリティ溢れるバラエティ豊かなデザインの誕生に起因しています。
自身のバックグラウンドに関係深いモチーフ
自由な発想から生まれるCody Sandersonのデザインには、彼のルーツとなるナバホ族のモチーフが多く含まれています。
Moon(月)
太陽の光を反射して輝く月は女性らしさの象徴で優しさや純粋さ、平静や落ち着きの象徴と言われます。
また満ち欠けの周期で姿を変えるため、成長の象徴とも言われます。
Sun(太陽)
太陽は万物の創造主で絶対神。人々や地球にエネルギー、または生命を与えてくれます。
太陽は、発展・成長・エネルギー・生命力・治癒能力・昼の地球を見守る者の象徴です。
Feather(羽)
神である太陽に一番近づける存在であり、神に人間の思いを伝えてくれる動物。 歓迎と友情・平和の象徴とされています。
インディアンの間では儀式(精神世界との交信)や戦績の象徴として使われ、 多く持つことが名誉とされていました。
その他にも鷹が羽を羽ばたかせて空に飛び立つということから、飛躍や運気上昇の象徴でもあります。
Water(水)/Teardrop(雫)
水はカラカラの大地を潤し、命を与えてくれる、ということから平和・生命の象徴とされています。
乾いた大地に降る恵の雨をインディアンたちは「神々が流す涙のしずく」と呼んでいました。
涙は悲しいときにだけに流されるわけではなく、大きな歓びや感動をおぼえたときにも溢れるものです。
神々の涙は、地上に住む生物にとって、生きるエネルギーを与えてくれるものとされています。
Star(星)
Cody Sandersonで最も有名なモチーフといえばこれ。
ここまでに紹介したモチーフはすべて自然に関するもので、「星」もまた自然のものではありますが、これだけは他のモチーフとは由来が少し異なります。
Cody Sandersonにおける星の由来は、彼の住んでいるニューメキシコ州の西部開拓時代のシェリフ(保安官)バッジから来ています。
伝統的であり、文化的でもあり、それでいて現代に合ったキャッチーさをも併せもったデザインだからこそ、Cody Sandersonは世界中で愛されるアクセサリーブランドとなったのでしょう。
※Dollarは "VISION OF FASHION" というサイト名に変更しました。
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